ブラック保育園に遭遇した保育士は、世の中にたくさんいると思います。
私もその一人で、その時は本当に驚くばかりでした。
私が辞めたときのこと
その保育園では、退職は 「承認されませんでした」 という理由で却下。 その園の職員によると「過去に円満退社した人はいない」とのことでした。
さすがにそれは盛っていると思いましたが…。
私も最終的には弁護士に相談して、やっと辞めることができました。
そのときに「のる子先生がなんとかしてくれる」なんて言っていた保育士もいましたが、私は自分のことで精一杯でした。
その後、その流れでもう一人が2ヶ月かけて退職し、他の保育士は残りました。
今はほとんどの人が入れ替わっているものの、それでも保育園は続いています。
ブラック保育園の定義
「ブラック保育園」は正式な法的用語ではありません。
職員の主観による部分もあるため、何をもって「ブラック」とするかは状況や価値観によっても異なります。
一般的に、「ブラック保育園」とは、労働環境や運営体制に深刻な問題を抱えており、保育士や職員にとって過度な負担や不当な扱いがある保育園のことを指します。
「うちはブラック保育園」と言っても、経験によってはそれが「一般的な保育園」と感じる場合も多く、逆にひどいところは耳を疑うほど劣悪なのです。
ブラック保育園の主な特徴
一般的に言われているブラック保育園の特徴は以下の通りです。
1. サービス残業・長時間労働が常態化
- タイムカードを切った後の業務が当然とされる
- 持ち帰り仕事が多く、休憩も取れない
2. 低賃金・賃金未払い
- 保育士の給与が労働内容に見合わない
- 昇給・賞与が極端に少ない、もしくはない
3. 人手不足なのに補充されない
- 慢性的な人員不足で1人あたりの業務量が過剰
- 応援や補助体制がない
4. パワハラ・モラハラが横行
- 上司や園長からの不適切な言動
- チーム内でのいじめや孤立
5. 安全・衛生管理が不十分
- 子どもの命や健康に関わる対応が雑
- 法令や保育指針が守られていない
6. 理念や運営方針が不明瞭・形式的
- 子どもよりも利益や効率を優先
- 園の方針が現場に伝わっていない
そして、一部の問題だけではなく、「複数の問題が重なって慢性化している」ことが特徴といえるでしょう。
私が経験した極端なケース
私が経験したのは、単なる「ブラック保育園」というレベルを超えて、違法行為や人権侵害が疑われる深刻なケースでした。
労働基準監督署に相談したところ、以下の問題があると指摘されました。
- 公序良俗違反(社会の秩序や善良な習慣に反する行為)
- 独占禁止法違反
- 個人情報保護法
- 信義則違反
- 業務妨害
ここでは詳細は割愛しますが、もはや「劣悪な保育園」を通り越して、悪質だと言われました。それでも、訴えるなどという騒ぎにする気持ちにはなれず、ただただ「辞めなくちゃ!」という気持ちでした。
「辞められない」という事実は、それまで想像したこともなく、恐怖さえ感じていました。
なぜ人は働き続けるのか
そんな保育園にも従業員はいます。どうしてみんなは働き続けられるのでしょうか?
それは、悪いところがあるのは承知しているけれど、自分の中での優先順位があって、「辞める」という選択にならないからだと思います。
例えば:
- 家が近い
- 中身がゆるくて楽
- 現場の人間関係は良い
- お給料が高い
過去の嫌だった自分の経験と比較して、
「今の方がまだいい」
「次はもっと働きにくいかも」
「今から新しい人間関係はキツイ」
「他でこれだけ稼げるかわからない」
このような思いから、嫌な部分に蓋をして、なんとかやっているのだと思います。
辞める人・続ける人の違い
耐えられずに辞めていく人は、決して我慢が足りないのではありません。
残り続けられる人とは以下の点で違いがあるのです。
- 感性が違う
- 経験値が違う
- 優先順位が違う
- 大切にしていることが違う
- 嫌な人(上司など)から受ける対応が違う
つまり、感じ方が違うのです。
実際、ブラック保育園だったから辞めたけれど、その後の経験から「今なら、あの保育園くらいなら続けられたかも」と感じることは珍しくありません。
あなたにとっての「良くない職場」
しかし、そのときに「無理!」「耐えられない」と感じ、体調にも影響が出始めているなら、それはあなたにとって「良くない職場」です。
離れる決断をした方がよいと思います。
もし、そこまでではなく、愚痴を言うことでバランスが保てるくらいなら、対処法はあります。
対処法の例
- 仕事で重きを置くことに集中する
- 仕事や職場に楽しいことを見つける
- プライベートで好きなことに打ち込む
- 仕事のことを考えずにいられる時間を増やす・趣味を見つける
あくまでも、「もう少し頑張れそうなとき」です。
譲れないポイント
世の中で「ブラック保育園」と言われる園でも、ちゃんと保育士はいて、保育園の運営は続いています。 そこで働く人たちも、それぞれの事情や価値観があります。
残る人がおかしいのでも、去る人の我慢が足りないのでもありません。
大切なのは、自分にとって何が譲れないポイントなのかを知ること。そのポイントが判断の基準になります。
そして、限界を感じたときには適切な選択をする勇気を持つことだと思います。
環境は選べます。
辞めることも、残ることも、自分を大切にするための選択です。あなたが元気でいることは、結果的に子どもたちの笑顔にもつながります。
無理をせず、自分らしく働ける場所を選んでください。


