先輩たちが忙しそうにしている姿を見て「何か手伝えることはないかな」と思うのは自然なことです。
でも、実際に「手伝います!」と声をかけると、「いいよ、大丈夫」と断られることも多いのではないでしょうか。

そんな経験を重ねるうちに

「嫌われているのかな」

「迷惑なのかな」

と不安になったり、

「私は信用されてないのかも」

と落ち込むかもしれません。

今回は、職場での「手伝い」について、様々な視点から考えてみたいと思います。

目次

  1. なぜ「手伝います」が断られるのか
  2. 言葉の選び方で印象が変わる
  3. 相手の状況を考える
  4. 相手は手伝ってほしいのか
  5. 押しつけがましくしない
  6. 断られたときの対応
  7. 手伝わなくていい
  8. 声をかける意味
  9. 手伝いを断る人の心理を理解する
  10. 一歩引いた視点で考えてみる

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なぜ「手伝います」が断られるのか

せっかく「手伝いましょうか」と声をかけたのに断られると、あまりいい気がしない人もいるでしょう。しかし、相手の立場で考えてみると、案外すんなり受け入れることができます。

「一から説明するのが面倒」

誰にでもすぐにできることならお願いできるかもしれませんが、やり方を教える必要がある場合もあります。そして、「説明する」のが苦手な人もいます。
「説明している時間があるなら、自分でやってしまった方が早い」と思う人もいるでしょう。

「自分のペースで進めたい」

慣れた作業は、自分なりの段取りやリズムで進めている場合があります。
今は手が空いているから少し進めているだけで、手伝ってもらってまですることではないかもしれません。

「自分のやりたいようにしたい」

壁面や手作りおもちゃなどの制作をしているとき、自分の納得のいく仕上がりにしたい場合があります。自分の得意なものを作っているなら、人の手は借りたくないというのも分かります。

言葉の選び方で印象が変わる

同じ「手伝う」でも、声のかけ方によって受け取られ方が変わることもあります。
「手伝いましょうか?」という言葉が、時として「上から目線」に聞こえてしまうことがあるようです。これは決して悪気があるわけではないのですが、受け取る人によっては「自分が力になれる前提で言っている」と、あつかましく思うのだそう。
そう思われる可能性があるなら、『私にお手伝いできることはありますか?』と言い換えた方が安全かもしれません。

このように感じる人はそれほど多くないと思いますが、中にはそういう人もいる、ということは知っておいた方が良いでしょう。

相手の状況を考える

相手は手伝ってほしいのか

本当に手が回らない状況なのか、それとも一人で集中して取り組みたい作業なのかを見極めることも大切です。
明らかに人手が必要そうな時は、断られた後で、もう一度「大丈夫ですか?」と声をかけてみるのも良いかもしれません。

押しつけがましくしない

「手伝います」と言うと、手伝う前提になり、相手の都合や気持ちを無視する形になりかねません。
業務内容をある程度把握している人でないと任せられないこともあります。「手伝い」とはいっても簡単ではないのです。

断られたときの対応

手伝わなくていい

「いいよ、大丈夫」と言われたときは、そのままの言葉を受け入れましょう。
「何かあったら声をかけてくださいね」という言葉を添えることで、必要な時に相手も頼みやすくなります。
無理に手伝おうとすると、かえって相手の負担になったり、関係性に悪影響を与えたりする可能性もあるので、しない方がいいです。

声をかける意味

たとえ断られたとしても、「手伝いましょうか」という声かけには、それ自体に意味があります。「気にかけてくれている」「協力的な姿勢を持っている」ということが伝わり、職場の雰囲気作りにも貢献します。
断られるかもしれませんが、一度は声をかける方がいいですね。
 

手伝いを断る人の心理を理解する

なかには、手伝いを断りがちな人もいて、そこには様々な理由があります。

「頼むのが苦手」
「本当は手伝ってほしいけれど、申し訳なくて頼めない」という人もいます。このタイプの人は、遠慮深く、他人に迷惑をかけたくないという気持ちが強い傾向があります。

「責任感が強い」
自分の仕事は自分でするのが当たり前。そう思っている人もいます。責任感が強いのですが、融通もききません。このような人は、本当に手伝いが必要なときは、自分から頼むことが多いです。

「完璧主義的な面」
「自分の思う通りにやりたい」「全部把握しておきたい」という気持ちから、他人の手を借りたがらない人もいます。これは必ずしも悪いことではなく、責任感の表れでもあります。

「過去の経験」
以前に手伝ってもらったときに、かえって混乱したり、自分のやりたかった結果にならなかったりした経験がある場合、手伝いを断ることが多くなることもあります。

「自分でやりたい」
単に自分でやりたいと思っていれば、「大丈夫ですよ」と答えるでしょう。その仕事が好きなら大変だとは思っていませんし、むしろ、楽しんでいるのかもしれません。

「手伝いは必要ない」
手伝ってもらうほどのことではないのなら、やはり人に頼むことはしません。忙しければあとでやればいい。その程度の仕事なのでしょう。

一歩引いた視点で考えてみる

自分の仕事を優先する

「手伝います」と声をかける前に、自分に任されている仕事がきちんと終わっているかを確認することも大切です。自分の業務が中途半端な状態で他の人を手伝おうとすると、かえって迷惑になることもあります。

チーム全体の効率を考える

個人の好みや性格はありますが、時にはチーム全体の効率や成果を優先する必要もあります。明らかに全体の業務に支障が出そうなら、先輩や上司に相談することも一つの方法です。

勝手な手伝いは避けよう

気を利かせたつもりで、頼まれてもいないのに業務を代わりにやってしまう人がいるかもしれません。良かれと思ってやっているのですが、これは相手にとって迷惑になる場合があります。
自分の判断で手を出すことが相手の仕事のペースを乱してしまうことになるので、かえって怒らせてしまうかもしれません。また、勝手に業務を行うことで、記録が曖昧になったり、責任の所在が不明になったりするリスクがあります。

相手には相手なりの段取りや方法があることを理解し、尊重することも大切です。

断られることを恐れない

「手伝います」と言って断られることを、必要以上に気にしないでください。断られる理由は様々で、必ずしもあなた個人に対する拒否ではないからです。

大切なのは、「協力したい」という気持ちを持ち続けること。手伝いは、して欲しいときと、して欲しくないときがあります。今日は断られても、別の日には「ありがとう、お願いします」と言われるかもしれません。

関係性を大切にしながら

職場での「手伝い」は、単なる仕事以上に、人間関係やチームワークに関わる大切な要素です。
相手の立場や気持ちを理解して、適切な距離感を保ちながら、「協力したい」という気持ちを伝えていくことが大切だと思います。

断られたときは無理をせず、受け入れてもらえたときは気持ちよくお手伝いしたいですね。

職場の人間関係は一朝一夕には築けませんが、日々の小さな気遣いや声かけの積み重ねが、やがて信頼関係につながっていくはずです。
「手伝います」という言葉一つをとっても、そこには深い人間関係の学びがあります。

焦らず、一歩ずつ、職場での自分なりの立ち位置を見つけていけば良いのだと思います。