「優しいから舐められる」という言葉。
言われたことがある方や、周囲で耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
特に新人のときに言われがちではないかな?
舐められるのは自信の無さ
「舐められる」原因は優しさそのものではありません。
頼りない印象や自信のなさ、新人であることを子どもが敏感に感じ取り、「この人はどんな人?」と試されているケースがほとんどです。
優しいからダメなわけではないんです。
そんな状況で、
「先生は優しいから舐められるんだよ~」
「もっとビシッと言わないと子どもは言うこと聞かないよ」
なんて言われたりします。
こういうことを言う人は、たいてい大声で怒鳴るなどの威圧的な保育をしていたりします。
すると、自分も威圧的にならないといけないかな…。
なんて、真似をし始める人もいます。
威圧的な態度はその場での効果があっても、長期的に信頼関係を築けない原因になります。
一見、分かるようになったふうにみえるけど、怖いからやる、またはやらないだけです。
一方で、毅然とした態度は優しさと信頼感をもって接することで、子どもに安心感をあたえるでしょう。
では、優しさを保ちながら子どもから信頼されるにはどうしたらいいのでしょうか。
「舐められる」の正体を知る
まず、「舐められる」とはどういう状態か考えましょうか。
例えば、子どもが保育士の言うことを聞かなかったり、わざと困らせるような行動をしたりする場面を思い浮かべてください。
困らせる行動の背景には、こんな子どもの心理が隠れていることがあります。
- この人はどんな人?どこまでOK?
→ 新人や慣れていない保育士に対し、境界線を試している。 - 本当に大丈夫な人かな?
→ 自信がなさそうな保育士に対し、安心して頼れる存在か確認している。 - もっと自分に注目してほしい!
→ 「わがまま」に見える行動が、実は関わりを求めるサイン。
つまり、子どもは「この先生を信頼していいのかな?」と、無意識のうちに試しているんです。
威圧的な対応のリスク
こうした行動に対して厳しく威圧的な態度をとると、一時的には子どもが言うことを聞くかもしれません。
でも、その先には大きなリスクがあります。
- 子どもの心が萎縮してしまう
→ 自分の気持ちを表現するのが怖くなり、保育士との信頼関係が深まらない。 - 威圧が通じない場面では対応できなくなる
→ 「怖さ」で従わせるだけでは、子ども自身が納得して行動を変える力は育ちません。
威圧的な対応が良くないことは、一目瞭然です。
優しくても信頼関係は築ける
威圧的な人を信頼するかと言ったらしないでしょうね。
いざというときに助けてくれるとか、自分の気持ちを分かってくれるとか、安心して頼れるとか。
そのためには、普段からいけないことは「NO」とはっきり言えないといけません。
「嫌われたくない」という気持ちから曖昧な態度を取ってしまうと、子ども自身も「どこまでやっていいのか分からない」と混乱します。
例えば、危ないことをしている子には、しっかりと目を見て「それはダメ、危ないよ」と伝えましょう。
子どもの目を見て、目線を合わせて、真剣に伝えます。
もちろん、こういうときに笑顔はだめです。
まじめな表情でしっかり伝えましょう。
そうすれば、大きい声や強い口調で言わなくても伝わります。
このとき伝える内容に一貫性を持つのも大事です。
昨日はOKだったけど今日はNG、という対応を繰り返していると、子どもは「この人はどういう基準なんだろう?」とさらに試す行動を繰り返します。
自分が何を基準にして行動しているのかをはっきりさせ、一貫した態度を心がけましょう。
自分の行動や判断に自信が持てないときほど、子どもに「試される」ことが増えます。
その日の保育を振りかえって、どの場面で迷ったのか、どうすればよかったのかを考えると、自分の軸がしっかりしてきます。
優しさは「強さ」とセットで
本当の優しさとは、毅然とした態度や一貫性、そして信頼関係を築くための積極的な働きかけとセットになったものです。
信頼関係は1回や2回で簡単に築けるものではありません。最初はなかなか聞いてもらえないかもしれない。
それでも、子どもたちは「この先生は安心できる存在だ」と感じたとき、自然と信頼し、尊敬してくれるようになります。
この先生のそばにいたいと思うし、この先生の話を聞きたいと思うでしょう。
このとき、信頼を得られる先生は子どもによりそうことができています。
よりそうとは、子どもの気持ちを受け止め、その子が自分で答えを見つけるまでの間を大事にすることです。
よりそうについては次回、具体的にお話しします!