- 「こんなこともできない自分はダメなのかな」
- 「この子のために何をしてあげればいいのかわからない」
- 「周りに迷惑をかけているんじゃないか」
…そんな気持ちになることがあるかもしれません。
でも、まず最初にお伝えしたいことがあります。
あなたが感じている大変さは、決してあなた個人の問題ではありません。
加配保育の本当の意味を知ってほしい
加配保育って、「特定の子に1対1、1対3など、深く密に向き合う仕事」ですが、決して「一人で抱え込むもの」ではありません。
本来、加配の目的は「その子の育ちを支えること」。そして、支援対象のお子さんもクラスの大切な一員である以上、担任の先生、フリーの先生、補助の先生、そして加配のあなた、みんなが関わるチーム保育であるべきなんです。
でも現実は、「その子はあなたが担当なんだから」と言われて、一人で対応することを求められがちですよね。これは、本当におかしなことだと思います。
あなたが感じている葛藤は当然のもの
未経験から加配に就いたときに感じる葛藤を、少し整理してみましょう。
保育の基本を学びながら、同時に専門的な対応も求められる
保育現場について基本から学ぶ段階で、覚えることがいっぱいなのに、さらに加配としての専門的な知識も必要とされる。
これって、本当に大変なことですよね。
居場所がまだ確立されていない中での責任の重さ
保育園の一員として、まだ居場所が定まっていないのに、重要な役割を任される。周りとの信頼関係も十分に築けていない状況で、子どもとの関係も一から構築していかなければならない。
理想と現実のギャップ
集団行動についていかせなくてはいけない、でも無理やり何かをさせることはできない。このジレンマは、加配保育に就く多くの方が経験する悩みです。
周りからの無理な要求
時には、上司や他のクラスから無理なことを要求されることもあります。でも、発達の特性上、難しいことが多いのが加配保育の現実です。
こうした状況の中で、「仕事ができない」というレッテルを貼られ、自信をなくし、孤立していく…。
これは、あなたの能力の問題ではありません。システムの問題です。
求められることと実際にできることの差
未経験からいきなり加配についた保育士が、どれほどの心理的プレッシャーにさらされているか。求められることと実際にできることの差があまりにも大きいと思いませんか。
支援対象のお子さんの安全を確保しながらも、他の子どもたちの安全や保育とのバランスを求められる。保育未経験であることで、対象のお子さんとも、園内の人とも、信頼関係や人間関係を築くだけの時間が不足している。
さらに、専門的対応や専門研修の機会もほとんどない。これは、個人の力量ではどうにもならないことで、組織的な対応や体制の整備と現場理解の共有が必要不可欠なことなのです。
本当に必要な専門知識と研修
加配保育に就くには、本来は専門的な知識が必要です。多くの保育士が「加配に入ったけど、どう対応していいかわからない」という状態で現場に出されていますが、発達障害や支援の知識がなければ、適切なかかわりも判断もできないのは当然です。
加配保育士として配置されると、園では外部の専門研修に参加させてもらえることがほとんどだと聞いていますが、その機会も業務がスタートしてずいぶん経ってから、ということもあります。加配保育に対して、保育園自体が軽く考えている場合もあります。本当なら、スタートする前に、もしくはすぐに受けさせてほしいところですよね。
それでも周りの協力で上手く進むことも
どの保育園でも、未経験の試験組を加配保育に就ける場合、十分といえる研修や教育はありません。それでも、周りの職員が協力してくれる土壌のある保育園では、うまく進んでいくことができます。
これまでの子どもの行動パターンや好みを教えてくれたり、対応に苦戦しているところにフォローを入れてくれたり。園内に協力し合う文化があれば、一緒に乗り越えられるのです。
加配保育に就くあなたにお伝えしたいこと
未経験から加配保育に就いたあなたに、心からお伝えしたいことがあります。
最初から完璧である必要はありません
最初からうまくいかなくて当然です。あなたが感じている「できない」という気持ちは、経験不足や知識不足、そして協力体制の不足が原因であって、あなたの能力や人間性の問題ではありません。
経験しながら、学びながら出来るようになっていきます。
一人で抱え込まないでください
加配はチームの一員です。困ったときは、遠慮なく周りに相談してください。「わからない」と伝えることは、子どものためを思う責任感の表れです。
小さな変化を大切にしてください
劇的な変化を求めなくても大丈夫。「その子が少しでも安心して過ごせる時間が増えた」「小さな笑顔が見られた」そんな小さな変化を大切にしてください。
自分を責めないでください
うまくいかない日があっても、自分を責めないでください。加配保育は、本当に専門性の高い、難しい仕事なんです。
時間をかけて、少しずつ
今は大変な状況かもしれませんが、あなたがその子と向き合おうとしている気持ち、その子のことを思う気持ちは、必ず伝わります。
時間をかけて、少しずつ関係を築いてください。専門的な知識は今からでも身につけることができます。研修の機会があれば積極的に参加し、なければ本や動画で少しずつ学んでいけばいいです。
そして何より、チーム全体で支援していく体制作りを、あなたも一緒に求めていってください。一人で抱え込まず、「力を貸してください」と声をあげていくことも大切です。
完璧を一人で目指す必要はありません。どんどん周りを巻き込んで、みんなでその子と向き合ってください。