最近、読者の方から「公立保育園で働きたいと思っているのですが、どうですか?」というご相談をいただきました。長く働き続けるなら、公立が良いという印象があるのかもしれませんね。
でも実際は「公立だから大丈夫」とは言い切れない現実も見えてきたんです。
今日は、そんな公立保育園の今について、お話しさせていただきますね。
私が経験した公立保育園の変化
私はこれまで2つの公立保育園で働いたことがあるんです。私の経験した保育施設のなかでは、公立はどちらも新人教育がしっかりしていました。試験組保育士に向けた研修はやはりありませんでしたが、新卒さんが受けている研修を見ているだけで「なるほど、こういうことなのか」と学ぶことがたくさんありました。
ところが、今その2つの園を見ると、片方が民営化されているんです。ほかにも、近隣で民営化された保育園はいくつかあります。これって調べてみると、私の地域だけの話ではなかったんですね。
特に都市部では、自治体の財政が厳しくなって、公立保育園の民営化が進む傾向があるようです。地方では、利用者が減って統廃合が進んでいる地域もあります。
民営化で起こる現実
民営化が進むと、どんなことが起こるのでしょうか。
一番大きいのは、職員の働き方が変わることです。公立の保育園が減ると、パートで働いている先生たちの勤務時間や日数が削減されることがあります。
これは、既存の公立保育園に異動するケース。
「週5日で採用されたのに、次の年度で週3日になってしまった」なんて話も実際に聞いたことがあります。
また、民営化した園にそのまま残る場合もあります。こちらの方がケースとしては多いかも。
たいていは1年程度の「合同保育」(元の職員と、新しい母体から来た職員が一緒に保育)をしていました。
私が働いていた園でも、合同保育を経て、元いたパートのほとんどがそのまま残りました。
もちろん、条件については新しい運営会社とお話し合いをして、納得してから働き始めることになります。
ただ、ここで気をつけたいのは、経営母体が変わるということは、運営方針も給与形態も変わるということなんです。最初は良い条件でお話しがまとまったのに、運営が完全に移行してから条件を変更されてしまった、という話も残念ながら聞いたことがあります。
時代の流れ
民営化や統廃合は、社会全体の変化の中で起こっていることです。効率が良い、悪いということではなく、時代の流れの中で起こっている現実なんです。
大切なのは、その現実を知っておくことだと思うんです。知っていれば、心の準備もできますし、自分なりの働き方を考えることもできますよね。
私たちにできることは?
では、私たち保育士には何ができるでしょうか。
まず、自分の住んでいる地域の保育園がどんな状況にあるのか、少し調べてみることをおすすめします。「○○市 保育園 民営化」「○○市 保育園 統廃合」などで検索すると、意外と情報が出てくることがあります。自治体のホームページに載っていなくても、地域のニュースで取り上げられていることが多いです。
もし民営化の話が出てきたとしても、決して悪いことばかりではありません。変化はちょっと不安ですが、新しい運営会社が良い環境を作ってくれることもありますし、自分の働き方を見直すきっかけにもなります。
ただ、できるだけ最初の「うまい話」に乗せられて大きな期待を持ちすぎないことです。
私が実際に聞いたのは、パートから正社員に起用されて、ゆくゆくは役職も…なんて話をしていたのに、経営が切り替わったとたん、「正規社員としての資質がない」ということで、パートに格下げ。さらには冷たい対応をされて退職。という人もいました。
たまたまたちの悪い保育運営者に当たってしまったのと、相性が悪かったからだと思いますが…。
こういうことも起こりうる、ということです。
一番大切なのは、自分らしく働くこと
公立でも私立でも、一番大切なのは、自分らしく働ける環境を見つけることだと思います。
長期間安定して働きたいのか、まずは保育の基礎をしっかり学びたいのか。自分の目的をはっきりさせて、それに合った職場を選ぶことが大切です。
そして、どの職場を選んだとしても、そこで得られるものを大事にすること。そして常に学び続ける姿勢を持つこと。これは私が現場で働く中で大切だなと感じていることです。
おわりに
公立保育所の民営化について、「知らなかった」「少し不安になった」という方もいらっしゃるかもしれません。
でも、現実を知ることで、自分なりの準備ができます。そして、どんな変化が起こったとしても、私たちには子どもたちと向き合う大切な仕事があります。その気持ちを大切にしながら、自分らしいキャリアを築いていってくださいね。