最近では、 保育園見学で保護者からおむつ替え時のプライバシーに関する質問も出るそうで…、時代なのかもしれないですね。
でも実際に「つい立て」を探しても、なかなか適したものが見つからない。
そんな悩みを抱えている保育園も多いのではないでしょうか。
今回は、おむつ替え用のつい立て選びについて、現実的な視点で考えてみたいと思います。
なぜ今、保育室に「つい立て」が必要なのか
便の場合はトイレのおむつ交換台で対応しますが、尿の場合はどうしても保育室でのおむつ替えが中心になります。その都度トイレへ行くのは人員配置上現実的ではありませんし、一人ずつしか対応できなくなってしまいます。
保育室は基本的に見通しの良い構造になっているため、どうしても人目に触れる場所でのおむつ替えになってしまいます。
そこで必要になるのが「目隠し用のつい立て」というわけです。
0歳の赤ちゃんにも、2歳の子にも、プライバシーを守られる権利があります。お迎えに来た他の保護者の目に触れることを考えると、やはり何らかの配慮は必要なのだろうと感じます。
市販のつい立て事情─価格と使い勝手の現実
1年前は「保育園のおむつ替え用つい立て」を探しても、適切な商品がほとんど見つかりませんでした。しかし最近では、保育園のニーズに応える商品が少しずつ登場しています。
私がみつけた市販のつい立てをいくつか紹介しますね。(価格は変動する可能性があります)
テラモト「軽量らくらくパーテーション」
専用スタンドとセットで使える折りたたみ式。ただし、小さいサイズでも4万円近くかかります。
木調プリーパーテーション
見た目は良いのですが、6~7万円という価格がネック。
ソフトフリーパーテーション(2枚セット)
こちらも 4万円台で比較的手頃ですが、やはり予算的には厳しい金額です。
どの商品にも共通する課題があります。
まず、数万円という価格設定。そして、意外と収納場所を取ること。頻繁に使うおむつ替えには、正直なところ使い勝手が良いとは言えません。
段ボール製もみつけました
昨年、問い合わせが来た時に探したときは見つからなかったのですが、今回、段ボール製のつい立も見つけました。
段ボールパーテーション|かこぼ・あにまる
こちらは動物の顔がついていて可愛いし、サイズも選べて数千円から1万円程度です。
収納と安全面の課題
安全面を考えると、つい立ては保育室に出しっぱなしにするわけにはいきません。子どもたちが遊んでいる時に倒れたら危険ですし、活動の邪魔にもなります。かといって、いちいち出し入れするのも大変です。
おむつ替えは1日に何度も行われるため、その都度重いつい立てを運ぶのは現実的ではありません。取り扱いやすさも重要なポイントです。何より、限られた保育室のスペースで、大きなつい立てを保管する場所を確保するのは至難の業です。
多くの保育園では、収納スペースも限られているのが現状でしょう。
手作りという選択肢─段ボールvs プラダン
こうした現実を踏まえると、やはり手作りの「段ボール製折りたたみつい立て」が最も現実的な選択肢だと感じます。
段ボール製のメリット
- 軽量で持ち運びしやすい
- 折りたたんでベッド横などの隙間に収納できる
- コストを大幅に抑えられる
- 壊れたら作り直せる
- 子どもが触って倒しても比較的安全
プラダン(プラスチック段ボール)はどうか?
加工が簡単で見た目もきれいなプラダンも候補として考えられます。ただし、軽すぎて倒れやすいのが難点です。(片側をベビーベッドに固定するなどの対応もできます)
おむつ替えをしている子どもが動いたり、周りで順番待ちしている子が触ったりすると、簡単に倒れてしまいます。厚みを持たせる、重みを付けるなどの工夫が必要です。
段ボール製でも倒れる可能性はありますが、プラダンよりは安定して自立してくれるかな、と思います。
手作り段ボールつい立て
■段ボール製つい立て・材料の目安■
- 大きめの段ボール
- ハサミ・カッター
- ガムテープ
- 装飾用の材料(色紙、シールなど)
- 表面をカバーするためのビニルテープ
手作りつい立ての工夫ポイント
実際に段ボールでつい立てを作る場合、いくつかのポイントがあります。
■安定性を高める工夫
- 折り目は一度切り離してからテープでジョイントすることで曲げやすく安定する
- 薄手の段ボールは2枚重ねにして重さを出す
- 高さを出しすぎない(60cm以下がおすすめ)
■子どもが親しみやすくする工夫
- 可愛いイラストを描く
- 明るい色でデコレーションする
■実用性を高める工夫
- 折りたたみやすい構造にする
- 収納場所に合わせたサイズにする
- 持ち手を付けるなどして運びやすくする
- 汚れても拭き取りやすい素材でカバーする
現実的な解決策を見つけよう
保護者の意識変化は、保育の質向上への大きなきっかけです。完璧な市販品が出るのを待つより、今できることから始めてみてはいかがでしょうか。(とはいえ、その”作る時間”の確保が難しいんですけどね…)
段ボール製でも、工夫次第で十分実用的なつい立てを作ることができます。何より、子どもたちの尊厳を大切にしようという気持ちが一番大切なんじゃないかな、と思います。