毎年、クリスマスが近づくと思い出すことがあります。
3歳の男の子の、切ないお話です。
サンタさんは来ない?!
保育園ではクリスマスイベントが盛り上がり、制作や壁紙も華やかになってきた頃のことです。
「〇〇ちゃんはサンタさんに何をおねがいしたの?」
担任の保育士が子どもに尋ねました。
それを聞いていた一人の男の子が、険しい顔をして黙ってしまいました。気になった保育士が、その子にも同じ質問をすると、
「うちにはサンタさんはこないから」
「ママがそう言ってたから」
小さな手でぎゅっと握りこぶしを作りながら、怒ったような顔でそう言ったのです。
担任の先生は慌てて「保育園にはサンタさんが来てくれるよ」とフォローしましたが、その子の表情は変わりません。
全身を固くして、怒った顔のままでした。
クリスマスの光と影
胸が痛みました。
クリスマスの話題は、楽しい雰囲気を作る一方で、家庭の事情や信条に触れることがあります。
全ての子どもがサンタさんからプレゼントをもらうわけではないんですね。
連絡帳にプレゼントの話題が書かれることも多いです。
親御さんもお子さんも、その話がしたい気持ちはよく分かります。
でも、一方でサンタさんが来ない家庭もあること。
その子たちがどんな気持ちでその話を聞いているか、少しだけでも心に留めてほしいんです。
「サンタさんに何をもらったのかな?」
「保育園にはサンタさんが来るんだよ!」
こんな言葉が子どもたちを包み込む魔法になることもあれば、切ない気持ちを思い出させることもあります。
配慮が生む安心感
大切なのは、保育園にはいろんな環境の子どもがいると知ること。そしてその子の気持ちに寄り添うことです。
クリスマスの話題を完全に避ける必要はありません。
でも、一人ひとりの家庭背景や感じ方を少しだけ考えてみると、保育士としての対応も変わってきます。
もし、今年のクリスマスに同じような場面に出会ったら、その子の気持ちに寄り添う言葉をかけてみてくださいね。
切ないクリスマスの思い出も、誰かの優しい心遣いで少しだけ温かい記憶に変わるかもしれません。
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