2024.9.20配信
ブラック保育園ってことばをよく耳にします。
私が勤めた保育園のなかにも「ブラックだ!」と職員から言われている園はありました。
でも、私は自分の経験から「そこまで極悪では無いかな。」と思っていました。
それは、法的な力を借りないと退職もできない、日本の法律が通じない保育園を経験したからです。
どうしてブラック保育園に就職したのか
株式会社となっているその施設の実体は家族経営でした。姉妹園を持ち、経営者の娘も園長を務めていました。
なんでそんな保育園に就職してしまったかというと、 採用面接が感じの良かったから。
そして
- 職員がそれぞれの『得意』を発揮している
- 毎年長期休みをとって海外旅行をする人がいる
- 10年以上勤める人がたくさんいる
こんな話を聞いて、働きやすそうだと感じたんです。
ただ、ちょっと不安もありました。
- 採用試験の筆記問題が妙に具体的な事例で、「あなたならどうする?」というもの。
- 面接の途中ですでに採用が決まっていた。
- 事務手続きをしてくださった方(のちに姉妹園の園長と分かる)がおどおどしていた。
なんか嫌な予感はしたんです。
採用試験の問題も、きっとこんなトラブルがあったんだろうなという変な感じの内容で。
でも、面接の雰囲気もいいし、とても歓迎されていてホッとしていた気持ちが勝ってしまいました。
就職してすぐ、同僚職員から「ここは北朝鮮だから」と聞かされました。
異様な雰囲気の職場
園長(経営者の娘)に対するピリピリした空気。にもかかわらずみんなが変に笑顔。
入職初日から、なんだか異様な雰囲気を感じました。
そして分かったことは
- 頻繁に「始末書」を書かされる
- シフトに穴をあけると「損害賠償金請求」
- 退職希望は5か月前までに申し出なければならない(でも認めない)
- 就業規則は見せない。見たいと言うと監視&いじめがはじまる
- 白紙の紙にサイン&捺印させられる
- 協業避止義務として退職後3年間は他の保育施設で働くことを禁止する
- 嫌いな保護者が依頼した書類を未来の日付で作成し、催促されても渡さない
- 10歳以上の子どもは熱を出しても留守番させろ
- 家族で協力してこの保育の仕事に当たれ
他にもおかしなことはたくさんありました。
職員いわく、私たちの仕事は保育より園長を守ることが最優先。
園長の言動に対して自治体に届いたクレームも職員がしたことにされてしまう。
だから、職員の半数以上が身を守るためにボイスレコーダーを用意していると。
損害賠償金も口だけだと思っていましたが、実際、過去に損害賠償金を給与天引きされたのだそうです。
この保育園では円満退職は無く、
病気か法的手段で辞める人しかいないと聞かされました。
それでも、緊急の問題はなかったので、私はそのまま働き続けていました。
退職希望を出した私に起きたこと
あるとき、6歳のお子さんが熱を出したけど、休ませてもらえなかったということが起こりました。仕方なくおじいちゃんに来てもらったそうです。
普段、面倒をみていないおじいちゃんに預けるのは、とても不安そうでした。
そこで私は、高熱や家族が倒れたりしたときは休めるのか、園長に尋ねました。
「休むなら代わりを立てるか、損害賠償金を支払ってもらいます。」
これが園長の返事でした。
私は勘違いているのかもしれないと思い、ほかの人のいる前でもう一度訪ねました。
答えは同じ。
「こんなんじゃ安心して働けない…」
そして、私は退職希望を出しました。
しかし、当然受理はしてもらえません。
「承認されませんでした」との返事がきておわり。
「それでも辞めるなら損害賠償金を払ってもらうことになりますね~。」
と言われました。
さらに「退職後の3年間は保育園で働けませんよ」と。
これは協業避止義務のことを言っているのです。
競合避止義務とは、同業他社に就職することによって元の会社にリスクが及ばないようにするものです。
「普通の保育士がそんなことないですよ!」と、労働基準監督署の人にも役所の人にも言われました。
この義務が発生するのは、よほどの場合です。
結局、私は弁護士さんにお手伝いいただき、無事退職することができました。
それも弁護士費用0円で!
(弁護士費用0円で退職した方法は、また別の機会でお話しします)
権力を持つ人に左右される
後日談として、退職に伴う書類は予想通り1か月以上たってから家に届きました。
過去にわざと書類を遅らせるということを見てきたので、予想はしていました。
私は書類がもらえなくてもできる手続き方法をしらべ、全部済ませていたので問題ありませんでしたけど…。
やっぱりそういうことするんだなって思いましたね。
残念な人が権力を持ってしまうと、こんなにもおかしな組織になってしまうんです。
ブラック保育園での経験もプラスに
私が思うブラック保育園って、ここが基準です。
このおかげで、ちょっとくらいの問題なら受け流せるようになりました(笑)
そうは言っても、ブラック保育園での経験はトラウマになり、しばらくは長期で雇用契約を結ぶことが怖くて働けなくなりました。
(そのとき始めた在宅ワークが今でも続いています。)
私が辞めたあと、あの園長は「始末書」と「損害賠償金」という言葉を言わなくなったそうです。
きっとこんなにあくどい保育園は珍しいだろうな、と思います。
嫌な経験でしたけど、この経験のおかげで多くを学んだし、それが今の自分を助けてくれています。
二度としたくない経験だし、誰にも同じ思いはして欲しくないですけどね。
あなたの保育園は大丈夫ですか?
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